JRS = 海賊盤 "THE JAILHOUSE ROCK SESSIONS"
EE = CD "ESSENTIAL ELVIS"
「2001」(レコード・バージョン)は、ラジオ・レコーダーズ・スタジオでスタートした「監獄ロック」セッションで最初に歌われました。MGMは(オーバーダブをしましたけど)映画にテイク6を使用することを決めていたのに、RCAには1957年08月22日にテイク5とテイク6を引き渡しています。映画とは別のテイクをRCAにレコード化させたいMGMの意図みたいなものが、この他の曲でも見られるのですが、版権上、そのようにしたかったのでしょうか?
テイク5は「BEGIN FADE AT 1:50」、テイク6は「BEGIN FADE AT 2:15」と記されていますが、同内容のコピー・テープを使用したと思われる海賊盤「THE JAILHOUSE ROCK SESSIONS (Laurel 2502)」には、フェイドアウトするものの長めのエンディングが聞かれますから、RCAはMGMから受け取ったテイク6を、より急速にフェイドアウトさせたのであろうと推測しています。
CD「ELVIS BY THE PRESLEYS」で発表されたテイク3〜5や、4CDs「CLOSE UP」に収録されたフェイドアウトで終わらないマスターなどは、1957年にRCAへ渡されずにその後もずっとMGMで保管されていたバイノーラル・テープを使用したのでしょう。
RCAに送られたテープ(コピー)
2001-3.FS 4.PB 5.PB
2001-6.M (Record Master)
右上テープのテープレジェンド拡大
MGMの録音記録「DAILY MUSIC REPORT」: X1 Jailhouse Rock 2001 & 2002
「2002 (pick-up to instr,chorus & on)」は、コーラスのオーバーダブです。
「2001-6(レコード・マスター)」と「2002-2(コーラス)」をミックスして完成した「コーラス付きバージョン」は、「2002」バージョンとして引き渡され、1957年6月14日にRCAでファイリングされて、シリアルナンバー「H2WB-6780」を与えられましたが、CD「ESSENTIAL ELVIS」で発表されるまでずっとお蔵入りしていました。「H2WB-6780」のファイルには、レコードナンバー「CPL2-4031」と書き込まれていますが、「This Is Elvis (CPL2-4031)」で発表された「JAILHOUSE ROCK」は、通常のマスター(2001-6)ですので、この理由を調査中です。
2008年夏版情報 (説明追加)
CD「ESSENTIAL ELVIS」収録の「コーラス付きバージョン」は、2分36秒の長さがあるのに、MGMの録音記録では「2002-2」が1分25秒であると記されています。CD「ESSENTIAL ELVIS」で初出の「コーラス付きバージョン」で、♪ Go-go-go ! Lay it on me, Daddy-O ! 〜 ♪ とコーラスが歌い初めてからエンディングまでの時間を計ると、およそ1分25秒になることが分かりましたので、2つの仮説を立ててMGMがコーラスが付けられた時間(1分25秒)のみを記録している理由を考えてみました。
A:1957年6月14日には、テイク4も渡していたのかも知れませんが
テイク4はエンディングが「あれっ!?」ですから
1957年8月22日のテープレジェンドではオススメしなかったのでしょう。
テイク(4と)5は、4番の歌詞「The sad sack was a sittin' on a block of stone 〜」が
抜けていて、2分以内で収まるので「シングル向き」として薦められたのかも。
Q:海賊盤「THE JAILHOUSE ROCK SESSIONS (Laurel 2502)」に収録されている
「フェイドアウトするものの長めのエンディングが聞かれる」テイクはテイク6ですか?
しかし、映画界に「ステレオの観念」がいつ頃からあったのかを調べないと、
全てをこれで片付けられなくて、実際にバイノーラルで録音されたと思われる
「Love Me Tender」が、ステレオ(エルヴィスがセンター)で発表されているのです。
20世紀FOXがステレオ・ミックスしたのか?
「Love Me Tender」を録音したバイノーラル・テープが2種類あって、
BMGがステレオにミックスし直したのか?
そんな疑問が解けないので、「やさしく愛して」の調査が止まってしまったのです。
「Poor Boy」、「Let Me」と「We're Gonna Move」はバイノーラルなんですけどね。
Q:1957年6月14日のRCAファイルの下の方に
「LSP 2011 A DATE WITH ELVIS」という文字が見えますが、これは
LP「A DATE WITH ELVIS」の作成に、このファイルを使用した
ということを意味しているのでしょうか?
A:「Young And Beautiful」、「Baby,I Don't Care」、「I Want To Be Free」の3曲は
EP「Jailhouse Rock」のあとにLP「A DATE WITH ELVIS」でも発表されました。
1959年発売のLP「A DATE WITH ELVIS」はモノラルで「LPM 2011」でしたから
この「LPM 2011」は、曲名の欄にタイプされています。
「LSP 2011」は1965年の擬似ステレオ盤のナンバーですので、
モノラル・マスター・テープに対するこのシートでは
欄外に記しているのではないでしょうか。
私はそんな風に読み取っていますが、私が気になっているのは
「H2WB 6780」の「Jailhouse Rock」の欄に「CPL2 4031」と書かれていることで
このレコード・ナンバーは「This Is Elvis」なのです。
「This Is Elvis」には、通常マスターのテイク6が入っているのに
このシートでは「コーラス付き」が使われていることになっているんです???
なぜか「This Is Elvis」では発表されなかった「コーラス付き (H2WB 6780)」は
その後、「Essential Elvis」で発表されることになりました。
A:この関係は分かりません。
しかし「WE ALSO HAVE A BASIC MUSIC TRACK ON "I DON'T CARE"」のコメントから考えて、
おそらく8月のテープは、RCAから「もう他には無いの?」と要求されて
作られたのでは無いかと思っているのですが、
少なくとも「Jailhouse Rock」のテイク6はダブって渡されたことになるんですよね。
テープを要求したのはRCAの「Steve Sholes」で、
テープを作ったのは、MGMを「they」と呼んでいる「Thone Nogar」
(Radio Recorders でのエンジニア)だと思います。
8月22日のテープレジェンドに書かれた「Young And Beautiful」の説明に
「ON 2004 they used TAKE 18 which is a combination of 18 & 12 〜」と
書かれていますよね。つまり未編集の「TAKE 18」と編集された「TAKE 18」を
両方とも「TAKE 18」と呼んでしまっているのです。
それと同様に、「I Want To Be Free (2010 version)」の「TAKE 11」にも
未編集版と編集版の「TAKE 11」が存在し、「Essential Elvis」で発表された
「I Want To Be Free (2010 version)」は、「TAKE 11」のアナウンスが
付けられているので、未編集版であるかと思いきや、
6月14日にファイリングされた編集版テイク11の「ようなのです」。
先に渡された6月14日のテイク11を未編集と考えるKeith氏と、
聞き比べてみて、6月14日のテイク11を編集版と考える私とで
全く考えが逆になっているのですが・・・これはそのうちに。
「I Want To Be Free」と同様に「Jailhouse Rock」のテイク6も、
テイク6と呼ばれているだけで、未編集版テイク6なのか
編集版テイク6であるのかは分かっていないのです。