What a Wonderful Life
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 FTD盤の聞き方 〜 第1回 〜 「Got My Mojo Working/ Keep Your Hands Off Of It」

 2008年8月24日(日)ウェブマガ第1号 (発行 インスタント伯爵)

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エルヴィス・プレスリーのコレクター向けレーベルFTD(Follow That Dream)は、
ユーロ建てで流通するためか、内容が充実していても正直に言ってチト高い。
しかし聞く側の知識や情報を増やせば、FTD盤のコストパフォーマンスが
上げられるであろうと考えてスタートしましたウェブマガ第1号の今回は
FTD「Love Letters From Elvis」 (→)に収録された
「Got My Mojo Working/ Keep Your Hands Off Of It」に関する
「知らなくても困らないけど知っていれば、より楽しむことが出来る情報」です。

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  もくじ
  1.セッション情報
  2.ちぐはぐな感じ
  3.バージョン違いの楽しみ方

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Love Letters From Elvis
FTD「Love Letters From Elvis」
1.セッション情報

1970年6月5日、テネシー州ナッシュビルのRCAスタジオBで録音。
ジャム・セッション形式で録られたテイク1をマスターとして選び、
1970年6月22日に女性コーラス、
1970年7月18日に管楽器(とパーカッション?)、
1970年7月22日に管楽器、パーカッション(+Bone?)とベース
をオーバーダブしたあとに、
放送禁止用語とイントロ部分を編集して
オリジナル・レコード・マスター(→)を完成しました。

「Essential Elvis Vol.4」のブックレットに載せられた16Trテープの画像(↓)を
よく見れば、6月5日のベース(3番目のトラック)がダメ出しされて、
おそらく7月22日のもの(16番目のトラック)に差し替えられたと思うのですが
16番目のトラックは「BRASS」にも読めて悩まされるのです。
「Bone」(15番目のトラック)は、カスタネットなどの打楽器を指す言葉ですが
どなたか「mojo」の中に聞き取れる方がいらっしゃいましたら御一報ください。

Got My Mojo Working
/ Keep Your Hands Off Of It
(オリジナル・レコード・マスター)
16Tr

2.ちぐはぐな感じ

私はFTD「Love Letters From Elvis」Disc2 の4曲目に収録された
「Undubbed Master」の出だしの部分をこんな風に聞き取っています。

フェイド・インから8秒目まで
  ♪ Well you're mine all mine no matter what you do と
  歌っていて、一応バンドとの息が合っています。
  ところが・・・
8秒目から約28秒目まで
  ♪ I got my mojo working 〜 と歌い出すのですが
  バンドは「知らないか」のように演奏を続けています。
  エルヴィスが「タン、タン」だか「トゥン、トゥン」と歌い、
  これは特にドラムに調整を促しているかのように聞こえます。
約29秒目から
  エルヴィスの「Ho!」の掛け声からバンド全員が「気付いたかのように」
  「Got My Mojo Working」モードに演奏を切り替えます。

つまり私の頭に何が思い浮かんでいるかと言うと、
フェイド・インで始まる「Got My Mojo Working/ Keep Your Hands Off Of It」は
最初に「Got My Mojo Working」ではなく、
これとそっくりな「Hands Off」(CD「The Home Recordings」収録)で
歌い始められていたのではないかと考えているのです。
メドレー形式で表現するのであれば
「Hands Off/ Got My Mojo Working/ Keep Your Hands Off Of It」ですね。

まあ、別の音源を参考にすると、最初はエルヴィスがオフマイクの状態から
演奏に加わって来ますので、別の解釈も出来るのですけど。


Love Letters From Elvis
FTD「Love Letters From Elvis」

The Home Recordings
「The Home Recordings」
3.バージョン違いの楽しみ方

FTD「Love Letters From Elvis」 (→)には
2種類の「Got My Mojo Working/ Keep Your Hands Off Of It」が聞かれ、
Disc1 の4曲目にオリジナル・レコード・マスター
Disc2 の4曲目にアンダブド・マスターが入っています。

a.オリジナル・レコード・マスター
イントロ部分の ちぐはぐな感じ をカットし、
2分39秒〜2分54秒(オリジナル・レコード・マスターでの時間)を
自らの0分56秒〜1分11秒に差し替えて、
その部分で聞こえた放送禁止用語をカットしました。

約3分06秒目から女性コーラスの誰かが笑っているのが
右チャンネルで聞こえますね。オーバーダブならではと言うか、
この辺のリラックスした感じは、エルヴィスとの同時録音では聞けません。

Love Letters From Elvis
FTD「Love Letters From Elvis」
比較1
b.「Essential Elvis Vol. 4: A Hundred Years From Now」バージョン
1996年に発売された Essential Elvis Vol. 4 には、「Undubbed/Unedited Master」とされるバージョンが発表されましたが、 放送禁止用語が削除されているので、コアなファンはこれが「Unedited」ではないことを知っていました。
私もコアなファンに交ぜてもらえると思いますけど(笑)、オリジナル・レコード・マスターに比べれば イントロ部分が復活していますし、放送禁止用語の部分でボーカルのボリュームを絞ったことは「BMGの良心」と 判断していましたので、「Unedited」と表記されるのも致し方ないことと考えていたのです。
しかし今回、放送禁止用語が FTD「Love Letters From Elvis」 で発表されましたので、それならばと Essential Elvis Vol. 4 をじっくりと調べ直してみたら・・・
なんだよ、ボーカルを絞ったんじゃなくて、また新たに編集しているじゃねえかよ!
Essential Elvis Vol. 4 のバージョンは、3分26秒(Essential Elvis Vo.4での時間)から約1.8秒間、「sweet as she can be」の歌詞を、オリジナル・レコード・バージョン同様に、1分42秒付近の「sweet as she can be」に差し替えてあったのです。
「BMGの良心」などと自分を納得させていた私がバカでした。
そしてまた、今回 FTD「Love Letters From Elvis」 で発表された「Undubbed Master」に「Unedited」が付いていないことを深読みしなければならなくなったのです・・・(これはまた参考になる新譜が出たときにでも)

Essential Elvis Vol. 4
Essential Elvis Vol. 4
Essential Elvis Vol. 4 バージョン
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ウェブマガ第1号はいかがでしたでしょうか?
言ってみれば、こんな解析は全てのファンが取り組む必要もないので
やってみた人間が公開して、エルヴィスのファンの間で知識を共有すれば良いと考えているのです。

さて、今後のウェブマガ発行に関しては、不定期発行ということもありまして
主に SNS「エルヴィス」 のコミュニティを利用してお知らせいたします。
よろしければみなさんも SNS「エルヴィス」 に御参加くださいませ。


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