Memphis Tennessee : The Lost Tapes > 1963年5月27日後半 |
◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇ FTD盤の聞き方 〜 第3回 〜 1963年5月27日ナッシュビル・セッション#2 ◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇ | ||
1963年5月27日の4曲目 (PPA4-0305) 「Western Union(ウェスタン・ユニオン)」 FTD「Memphis Tennessee」には、全テイクが収録されています。 Disc1 Track13 Master Take4 Disc1 Track30 Take1.FS&PB Disc2 Track11 Take2.LFS Take3.FS&PB 全テイクが聞けるわけですし、あえて私の言葉で話すことは特にゴザイマセン! |
Master Take4 | |
1963年5月27日の5曲目 (PPA4-0306) 「Slowly But Surely(がっちり行こうぜ)」 FTD「Memphis Tennessee」には、全テイクが収録されています。 Disc1 Track04 Master Take5 Disc1 Track21 Take1.PB Disc2 Track12 Take2.FS Take3.LFS Take4.LFS 【運命の分かれ道】 「Slowly But Surely(がっちり行こうぜ)」がボーナスソングに使われたサントラ盤「アカプルコの海(邦盤)」の発売は、1963年12月。 グリコ「がっちり買いまショウ」のテレビ放送が始まったのも、1963年12月。 ムダ知識ですがこれを読んだ以上、みなさんも忘れないでショウ。 |
Master Take 5 | |
1963年5月27日の6曲目 (PPA4-0307) 「Blue River(ブルー・リバー)」 FTD「Memphis Tennessee」には、全テイクが収録されています。 Disc1 Track14 Master (Spliced) Disc2 Track13 Take1.FS Take2.M エンジニアのこだわり 未編集マスター(Disc2 Track13)が終わったあとに、ピアノのワンコードとエルヴィスの口笛が聞こえ、これは初登場です。 また編集マスター(Disc1 Track14)はフェイド・アウトで終わっており、これはオリジナルLP「Double Trouble」を模して作成した新編集マスターです。FTD「Double Trouble」にはフェイド・アウトではない新編集マスターを収録していたので、FTD「Memphis Tennessee」で修正したってことでしょうか。 |
FTD「Memphis Tennessee」 | |
【エルヴィス“考古学”の歴史】 LP「Double Trouble」収録の「Blue River」の音が歪んでいた理由が、自己複製型のスプライシング(自己ダビング)によるものとレコード・スタンパー作製時のレベル・オーバーが関わっていたことなどを2年ほど前に調査しましたが、FTD「Memphis Tennessee」が発表されてまた少し情報に進展が見られました。私がエルヴィスに興味を持ち始めて、およそ30年。「Blue River」に関する情報の変遷をまとめておこうと思います。 1984年:研究書「Elvis Recording Sessions」とLP「Elvis Blue」 信じられないかも知れませんが、1984年には「Blue River」が何時録音されたものか、「Elvis Recording Sessions」(著者:ヨルゲンセン他)の研究家チームにもハッキリとは分かっていなかったのです。ゴールド・スタンダード・シングルには「1963年5月27日に録音された」と書かれているが・・・と説明があるだけで、当然マトリクス・ナンバーが「PPA4-0307」だったことなどは不明でした。この時点では1965年に付けられた「SPA4-6768」と「SPKM-7357」が「Blue River」の番号だったのです。 この頃の私は、タイトルにブルーが付いた曲だけを集めたLP「Elvis Blue」を聞いて、モノラルではあるものの音が歪んでいない「Blue River」の存在も知っていましたが、マスターが編集されていたとは気付いていませんでした。 |
Elvis Recording Sessions | |
1991年:CD「For The Asking : The Lost Album」 約1分31秒の「Blue River」がCD「For The Asking : The Lost Album」で発表され、私はそれまでに聞いていた約2分10秒のバージョンが編集されたマスターテイクであることに気付きました。 |
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1993年:研究書「Elvis Sessions」と5CDs「60's Masters」 Tunzi著「Elvis Sessions」に「Blue River」のマスターが「SPA4-6768 Take2」であるとの情報が載りました。つまりこの時点で「SPA4-6768」がセッションで録られたマスターテイク(CD「For The Asking : The Lost Album」収録)のマトリクス・ナンバーであり、編集されたマスターテイク(LP「Double Trouble」他に収録)のマトリクス・ナンバーが「SPKM-7357」だったと推察出来るようになったのです。しかしこれは間違いだったと後になって気付くのですけど、「テイク2」という情報が出て来ただけでも充分な進展であると、当時は喜びました。 また1993年には、セッション・ログに頼らずにレコーディング・データを探ろうとする強者(笑)、大瀧詠一氏が5CDs「60's Masters」のライナーノーツで「Blue River」マスターテイクの編集方法を解説してくれました。 |
Elvis Sessions | |
【“考古学”の歴史を語るテープ・ログ】 FTD「Memphis Tennessee」のブックレット3〜4ページ目に 載せられたテープ・ログ(→)は、「1978年10月24日」と「1987年2月11日」にメモが書き足されています。 「1978年10月24日」のメモ 1963年5月26日セッションの曲(0290〜0297)は このテープ・ボックスには入っていないが(NOT ON THIS TAPE) 1963年5月27日セッションの曲(0302〜0306)が入っている。 「1987年2月11日」のメモ (筆跡が違う) 「Blue River (0307)」をワン・テイク発見。 つまりFTD「Memphis Tennessee」で発表されたこのテープ・ログの画像一枚で、1963年のマスター・テープ集(このボックス)には、「Blue River」の未編集マスター(テイク2)が入っていたのに、エルヴィスの没後に行われたテープ倉庫の棚卸し作業時(1978年10月24日)には、その事実をRCAが掴めていなかったことが分かりました。1963年の時点で編集マスターを作成することが決まっていたので、未編集マスターは重要視されずに、(うっすらと見える)下書きからも漏れていたのかも知れませんね。 | ||
このテープ・ログ情報を“考古学”の歴史と照らし合わせると・・・ 「1978年10月24日」のメモ : このテープ・ボックスには、1963年5月27日セッションの曲(0302〜0306)が入っている → 1984年には「Blue River」の曲コード(PPA4-0307)や、いつ録音されたものか、 セッション研究家にもハッキリとは認識されていなかった 「1987年2月11日」のメモ : 「Blue River (0307)」をワン・テイク発見。 → 1991年にCD「For The Asking : The Lost Album」で未編集マスター発表 と、見事に話のつじつまが合いました。 |
Unedited Master Take2 | |
そして発見されたワン・テイクを元にして、1963年の編集方法を真似て作った編集マスターが「音が歪んでいない」なおかつ「フェイド・アウトではない」という特徴を持ち、FTD「Double Trouble」等で発表されたわけです。 ここまで来るのに長かったなぁ(笑) | ||
1963年5月27日の7曲目 (PPA4-0304) 「Ask Me (アスク・ミー)」 前出の通り、「Blue River」録音後に「Ask Me」のテイク3から録音を再スタートして、テイク6が「Alternate Master」になりました。 FTD「Memphis Tennessee」には、1963年5月27日の全テイクが収録されています。 Disc1 Track17 Master Take2 Disc1 Track31 Take1.PB Disc2 Track14 Take3.LFS Take4.PB Disc2 Track15 Take5.LFS Take6.FS,FS&Alternate Master |
FTD「Memphis Tennessee」 | |
もくじ 1963年5月26日#1 1963年5月26日#2 1963年5月27日#1 1963年5月27日#2 1964年1月12日#1 Copyright(C)2008 - What a Wonderful Life.All rights reserved. 転載厳禁 |