◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇ 余分な話 〜 第3回 〜 1954〜55ライブ+1956ライブ 2009年5月13日(水)ウェブマガ第6号 (発行 インスタント伯爵) ◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
エルヴィスの1950年代ライブは、サンやRCAが録音したものではなく、ラジオ局や映画会社が収録したテープとアセテート盤が多数残されており、古くから海賊盤等で発表されて来ました。 今回のウェブマガでは、DVD-Audio「Memphis Recording Service Vol.1&2」のブックレットの情報を信用して、過去に発売されたLP/CDをレビューすることにします。 ************************************ もくじ 1.DVD-Audio「Memphis Recording Service Vol.1&2」の1950年代ライブ情報 2.イーグルズ・ホール・ライブ海賊盤(1978) 3.ハーフ・オフィシャル(?)盤 4.ルイジアナ・ヘイライド収録盤(1984) 5.ルイジアナ・ヘイライド再発掘(1996) 6.サンライズ(1999)、オンエアー(2002)、セッションズ3(2004) ************************************ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1.DVD-Audio「Memphis Recording Service Vol.1&2」の1950年代ライブ情報 「Memphis Recording Service Vol.1」(情報ソース:発売元のページ) 全11トラック中トラック7〜9に1954年10月16日のライブが収録されています。 ラジオ番組「ルイジアナ・ヘイライド」の提供にタバコの「Lucky Strike」が付いていて、その生コマーシャル中にスコティとビルが楽器のチューニングをしている音が聞こえます。
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Memphis Recording Service Vol.1 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「Memphis Recording Service Vol.2」(情報ソース:発売元のページ) 全40トラック中トラック13〜31に、1955年のライブを収録しています。 トラック27「I’m Left You're Right She’s Gone」は、CD「Sunrise」Disc2で発表された不完全版のアセテート盤バージョンを、スタジオ・テイクでつないで完全バージョンに仕上げてあるのですが、CD「Sunrise」Disc2には登場しない箇所も聞こえます。CD「Sunrise」は多目にカットしたのですね。
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Memphis Recording Service Vol.2 Sunrise | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
以上、「Memphis Recording Service Vol.1&2」に収録された1954〜55年ライブ情報をまとまると、次の表になります。
2.イーグルズ・ホール・ライブ海賊盤(1978) 1970年代の終わり頃からイーグルズ・ホール・ライブのライブ海賊盤が発売されましたが、 ジャケットに書かれた情報は細かな部分で間違いが目立ちました。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
The First Years (HALW, Inc. HALW 00001) 1978年12月に発表されたと聞く海賊盤「The First Years」は、 A面に「スコティがFirst Yearを語る」と題されたインタビュー、 B面にイーグルズ・ホールライブが収録されていて、曲順は次の通りです。 Good Rockin' Tonight (There's Good Rockin' Tonightと表記) Baby, Let's Play House Blue Moon Of Kentucky I Got A Woman (I've Got A Womanと表記) That's All Right (That's Alright Little Mamaと表記) 日付を1955年とされているだけで、 場所を「Cook's Hoedown Club」と間違えられていますが、 1978年12月に「1955年3月19日イーグルズ・ホール・ライブ」が発表されたことになります。 |
The First Years | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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The First Year - Recorded Live December 1954-February 1955 (Black Belt Records LP2) 1979年に発表されたと聞く海賊盤「The First Year - Recorded Live December 1954-February 1955」は、A面にイーグルズ・ホール・ライブ(「The First Years」と同じ順番) Good Rockin' Tonight Baby, Let's Play House Blue Moon Of Kentucky I Got A Woman That's All Right B面は、エルヴィスのインタビュー(Witchita Falls 1956)に続いて Tweedle Dee (early 1955, Glade Water, TX.) That's All Right (1954/10/19) Blue Moon of Kentucky (1954/10/19) と、「Louisiana Hayride」の音源が発表され、 B面の最後はボブ・ニールのインタビュー(1955)で締められています。 しかし最初の「Louisiana Hayride」出演が1954年10月19日とされていたり アルバム・タイトルに「1955年2月」と付けられていたり、収録バージョンを疑いますが 進展は前出の海賊盤で「Cook's Hoedown Club」だった表記が「Eagle's Club」となったことでしょうか。 |
The First Year - Recorded Live December 1954-February 1955 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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3.ハーフ・オフィシャル(?)盤 1980年になると海賊盤「The First Years」とそっくりの「Elvis, Scotty and Bill - The First Year (King Records No.1)」がイギリスで発売されました。正規のレコード会社「Virgin Records」から発売されたと聞いていますので、その頃に適用されていた「著作権保護25年」を盾にしたのでしょうか。私はこの盤を所有していませんが、海賊盤事典「Jailhouse Rock」には「石目模様の茶色のジャケット」と書かれていますので、「Virgin Records」版「The First Year」を日本で発売したものが写真に見える「Elvis, Scotty and Bill - The First Year (RPL-8203)」だと思います。 私は1983年に「Charly Records」から発売されたサン・レーベルの「Elvis, Scotty and Bill - The First Year (SUN 1007)」も所有していますが、これらの内容は全て同じで、A面はビフ・コリーのインタビューで始まり、イーグルズ・ホール・ライブ(曲名表記は海賊盤「The First Year」と同じ)が続き、A面の最後には1956年8月7日、セント・ピーターズバーグでのエルヴィスへのインタビューが収録されています。 Biff Collie Interview Good Rockin' Tonight (There's Good Rockin' Tonightと表記) Baby, Let's Play House Blue Moon Of Kentucky I Got A Woman (I've Got A Womanと表記) That's All Right (That's Alright Little Mamaと表記) Elvis Interview (Aug. 6,1956, St.Petersburg, FL.) そしてB面に「スコティがFirst Yearを語る」と題されたインタビューが入っていますが、これらの盤は単に海賊盤の焼き直しで新たなライブ曲目が発表されなかったことになりますね。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Elvis, Scotty and Bill - The First Year |
Sun Label |
RCA Label | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
4.ルイジアナ・ヘイライド収録盤(1984) 1984年になると「The Music Works」なるレーベルからルイジアナ・ヘイライドのライブ録音を収録したLP「The First Live Recordings」とLP「The Hillbilly Cat」が発売されたのですが、LP「The First Live Recordings」を購入したところ、A-B両面とも時間にして8分あまりしか入っておらず、「LP = ロング・プレイ」の風上に置けない代物でしたので、私はLP「The Hillbilly Cat」の方は購入しませんでした。 と言うのも、同年ほどなくして、LP「The First Live Recordings」とLP「The Hillbilly Cat」の収録曲を1枚にまとめたLP「The Beginning Years」が「Louisiana Hayride Label」から発売され、日本では公式盤として「RVC」から出たので、私はこれを購入したのですが・・・ The Beginning Years (RCA RPL-8252(M)) この盤は日本語ライナーノーツに興味深い情報が載せられています。いわば「エルヴィス考古学での間違っていた歴史観」なのですが、間違うことは決して恥ではありません。エルヴィスに興味を持って、思いをはせていた事実が、貴重なのです。 A-1.Naration-That's All Right Momma (← ツッコミどころ) ルイジアナ・ヘイライドに登場したエルヴィスの想い出がフランク・ペイジによって5分7秒程語られ、その中にルイジアナ・ヘイライドのオープニング・ジングルも聞こえ、なかなかの作り込みを感じさせますが、エルヴィスがルイジアナ・ヘイライドに初出演したのが1954年12月18日とされていて、今聞くと「あらら」なのです。 続く「That's All Right」に関して、ジャケットには収録日の情報が一切載せられていませんが、日本語ライナーノーツでは「1954年10月16日」の表記が見えますので、日本独自で得た情報を元にしてライナーノーツが書かれたように思えます。 A-2.Naration-Blue Moon Of Kentucky 2分25秒ほどの解説では「グランド・オール・オープリー」でエルヴィスが挫折感を味わったことなどが語られ、次に「1954年10月16日」のフランク・ペイジとエルヴィスの舞台上での会話と「Blue Moon Of Kentucky」が入っています。 A-3.Naration-Good Rockin' Tonight 実際にここに入っているのはイーグルズ・ホール・ライブの「Good Rockin' Tonight」で、フランク・ペイジのナレーションでは「ルイジアナ・ヘイライドに初出演してから3ヶ月後のツアーから」と紹介されています。つまり初出演を1954年12月と勘違いしていたフランク・ペイジ(海賊盤業者)も、イーグルズ・ホール・ライブが1955年3月に行われたことは間違えずにいたわけです。しかし面白いのは、日本盤のライナーノーツを書いた人物が、この「Good Rockin' Tonight」を既発表のイーグルズ・ホール・ライブ・バージョンと気付かなかったようで「1955年1月収録」と記しています。独自で得ていた「1954年10月初出演」の情報に「プラス3ヶ月」で「1955年1月収録」と書いてしまったのですね。私は何度も言っていますが、ライナーノーツを書くような立場だったら、良く聞かないとダメなんです(笑) A-4.I Got A Woman ここにはナレーションが入っておらず、A-3から連続してイーグルズ・ホール・ライブの「I Got A Woman」が聞かれ、日本語ライナーノーツには「1955年1月収録」と解説されています。 B-1.Tweedle Dee フランク・ペイジの「Elvis, if you got a 2 minute version of "Tweedle Dee-dee"」の求めに対してエルヴィスが「Yes, sir, I guess so.」と答えてから歌い出しますので、1955年4月30日グレード・ウォーター・ライブの「Tweedle Dee」なのですが、日本語ライナーノーツには「1954年12月18日収録」と間違えられています。ちなみに1954年12月18日に「Tweedle Dee」が歌われた記録は現在存在せず、「Blue Moon Of Kentucky」、「That's All Right」、「Hearts Of Stone」、「Shake Rattle And Roll」の4曲が歌われたようなのです(全て未発表)。 B-2.Naration-Baby, Let's Play House 「2ndと3rdシングルがパッとせずにデビューから1年が経ち・・・しかし4枚目のシングルはビルボードとキャッシュボックスに初めてチャートインした」とナレーションが入って、1955年8月20日のステージ上で交わされたエルヴィスと司会者ホレス・ローガンの会話のあとに「Baby, Let's Play House」が歌われます。日本語ライナーノーツには「1955年8月ムニシパル・オーディトリアムで収録」と解説。 B-3.Maybellene B-4.That's All Right Momma (← またかい) 「Baby, Let's Play House」に連続して、エルヴィスの曲紹介が入り1955年8月20日の「Maybellene」が歌われ、司会者ホレス・ローガンが再び登場したあとに「コント付き」の「That's All Right」が歌われます。日本語ライナーノーツには「1955年8月ムニシパル・オーディトリアムで収録」と解説。 B-5.Naration-Hound Dog 「エド・サリバン・ショーの物議のあとルイジアナ・ヘイライドに戻って来たエルヴィスは、1万人収容できるホールを満杯にするスターに成長していた」とフランク・ペイジのコメントが入り、1956年12月15日ルイジアナ・ヘイライドの「Hound Dog」が歌われます。日本語ライナーノーツには「1956年12月16日シュリーヴポート、ハーシュ・メモリアル・コロシアムで収録」と解説されていて、日付が1日ずれているのですが、このLPの発売当時は研究家の間でも「16日」と信じられていたのです。 |
The First Live Recordings The Beginning Years | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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5.ルイジアナ・ヘイライド再発掘(1996) アセテート盤に残されたルイジアナ・ヘイライドの録音が、1996年に「Branson Gold Records」からCD「The Louisiana Hayride Archives, Vol.1」として発売されました。1993年発行JAT「Elvis Sessions」と、1996年発行JAT「Elvis Sessions 2」、 そしてCD「The Louisiana Hayride Archives, Vol.1」のジャケットに書かれた情報を、現在信じられている情報と照らし合わせて表にまとめました。 CD「The Louisiana Hayride Archives, Vol.1」の面白いところは、ここにもフランク・ペイジの語りが入っているのですが、LP「The Beginning Years」の時に間違えていた「ルイジアナ・ヘイライドに初出演したのは1954年12月」という部分を、「全ては1954年の夏に始まった」と、エルヴィスがプロ歌手としてサン・レコードと契約した時期にすり替えていることと、依然としてイーグルズ・ホール・ライブをルイジアナ・ヘイライドでの録音と言い張って、「Good Rockin' Tonight」と「I Got A Woman」にいい加減な日付情報を付けていること、更にトラック8で「1955/04/30収録」と正確な情報で紹介した「Tweedle Dee」を、テープ・スピードを変えてトラック12にも登場させ、こちらには「1955/12/17収録」と偽りの情報を加えていることです。 Tunzi氏はTunzi氏で独自に間違えていた歴史が読みとれますね。 |
The Louisiana Hayride Archives, Vol.1 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2010年1月追記 通常3番の歌詞までしか歌われなかった「Love Me Tender」ですが、 「Louisiana Hayride - 1956/12/15」では4番まで歌われているとの確認が、 「某エルヴィス考古学研究員」(笑)からもたらされ、早速音声解析ソフトに掛けましたところ、 「Louisiana Hayride - 1956/12/15」の「Love Me Tender」は 「2番の歌唱」を3番の後に再び繋いで、ロング・バージョンに編集してあったことが判明しました。 しかしそれだけでなく他にも編集されたような部分がありますので継続して調査中です。
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6.サンライズ(1999)、オンエアー(2002)、セッションズ3(2004) 「Vol.1」と謳った切り、一向に「Vol.2」が発表されないCD「The Louisiana Hayride Archives」をよそに、未発表アセテート盤音源が、BMGから1999年に2CDs「Sunrise」で発表されました。しかしライナーノーツには詳細な収録日情報は載せられておらず、「(Live)(Acetate)(1955)」とされているだけですし、CD「The Louisiana Hayride Archives, Vol.1」で発表された曲、バージョンを避けるようにして2CDs「Sunrise」を作ってしまったために、一部の曲は正規盤で未発表のままになってしまいました。
2002年になると「Stardust Records」がCD「The Elvis Broadcasts - On Air」を発売しました。しかし、イーグルズ・ホール・ライブは混じっていますし、収録日情報もあやふやで、「I’m Left You're Right She’s Gone」のカットのされ方は2CDs「Sunrise」と同じです。 「Elvis Sessions 3」発売以降の情報 2004年に発行された「Elvis Sessions 3」では、「That’s All Right (1955/01/22)」と「I’m Left You're Right She’s Gone (1955/07/16)」の両方に同じマトリクス・ナンバー「FRA1 8152」が割り振られたように書かれていますが、当然どちらかが間違いでしょう。また、未発表になっているルイジアナ・ヘイライド公演のアセテート盤の中には未発表曲「Little Mama」等が存在すると「Elvis Sessions 3」には書かれていますし、1956年12月15日の公演は今後FTD盤で発表される可能性があると巷間伝えられています。更なる音源発掘が期待できそうですね。 さて、最後に2CDs「Sunrise」、CD「The Elvis Broadcasts - On Air」、「Elvis Sessions 3」の情報を表にまとめておきましょう。 |
Sunrise The Elvis Broadcasts - On Air | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆ 今回のウェブマガ「1954〜55ライブ+1956ライブ」では、その都度「未発表曲」が登場したLP/CDのみに話題を絞りました。 元ストレイ・キャッツのメンバーが、オーバーダブを施したバージョン等は機会があったらまた調べることにします。 また、1954〜1956年のライブ情報をまとめるのであれば、ユニバーサルが映画「The Pied Piper of Cleveland: A Day in the Life of a Famous Disc Jockey」で撮影した「1955年10月20日クリーブランド・ライブ」の話題なども取り上げるべきであると仰る方もいますでしょうが、それは現在「噂」として伝え聞く内容を書き写すだけになりますので、そのような単純作業は私の仕事ではないであろうと(笑) では (^^)/ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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