What a Wonderful Life
 Memphis Tennessee : The Lost Tapes > 1963年5月26日前半
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 FTD盤の聞き方 〜 第3回 〜 1963年5月26日ナッシュビル・セッション#1

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1963年5月26日の1曲目 (PPA4-0290)
「Echoes Of Love (恋のやまびこ)」

FTD「Memphis Tennessee」には、順番こそ入れ替えられていますが、
全テイクが収録されています。
Disc1 Track06 Master Take10
Disc1 Track23 Take1.PB
Disc2 Track01 Take2.FS Take4.LFS Take5.LFS Take3.PB
Disc2 Track16 Take6.FS Take7.LFS
Disc2 Track17 Take9.FS Take8.PB(Alt.Master)

【仮説のやまびこ (笑)】
「Echoes Of Love」は、10テイク試みられ
テイク8とテイク10がマスター候補に選ばれました。
結局、フェイドアウトで終わらないテイク10がマスターになったのですけど
1990年代の中頃にドドッと発売された海賊盤でも
「Alternate Master」のテイク8は、何故か発表が遅れたのです。
この理由を推測しながら「エルヴィス考古学的」に仮説を立てますと・・・

1.「Alternate Master」を入手していたとすれば
  海賊盤業者は、それを「目玉」として海賊盤を作るはず。
  しかし発表されなかったのて、当初、海賊盤業者に
  テイク8が流出しなかったことが想像出来る。
2.となると、テイク8とテイク10は、ハサミで切り落とされていたことと、
  3TRKレコーダーの使用が想像される1963年であっても
  ステレオのマスター・テープは、ハサミで切り落とされたテープを
  つなげて完成されていたことも想像出来る。

1曲目から迷路にはまるのは嫌だから(笑)これぐらいにしておいて、
仮説を立てるに当たって参考にしたデータを書いておきましょう。

  ラジオ・レコーダーズで録音されたアウトテイクは
  保存用の「B テープ」が海賊盤業者に流れたのに
  ナッシュビルRCAスタジオでレコーディングされた曲のアウトテイクは、
  マスターや編集用に一部を使用された「残り」が
  海賊盤業者に流れたようなのです。
  (「B テープ」の話は、サントラ・セッションを取り上げた時にでも)
Memphis Tennessee
FTD「Memphis Tennessee」



Alt.Master Take8



Master Take10

1963年5月26日の2曲目 (PPA4-0291)
「Please Don't Drag That String Around (恋のあやつり糸)」

FTD「Memphis Tennessee」には、全テイクが収録されています。
Disc1 Track02 Master Take6
Disc1 Track19 Take1.PB
Disc2 Track02 Take2.FS&PB
Disc2 Track03 Take3.FS&FS Take4.LFS Take5.FS&PB

【邪推のあやつり糸 (しつこいよ!)】
このあやつり糸は絡まりっぱなしでほどけないのですが(笑)
「恋のあやつり糸」に関しては10年以上前からミックス方法に疑問を持っています。
テイク1で右側から聞こえていたジョーダネアーズのコーラスが
テイク2からはセンターに配置されているのです。
これは単に「恋のあやつり糸」の曲調に合わせて、ギターとベースを右側で
聞かせた方が良いと、ビル・ポーター技師かエルヴィスの要望で変更したと
考えれば良いとは思うのですけど、このセッションで収録された曲の音質が
ものによってはあまり良くないことを考えると、余分なことを想像してしまうのです。

  メインとサブのテープ・レコーダーのうちのどちらかが初日から調子が悪かったが、
  録音時にはそれに気が付かずにセッションを終えてしまう。
  「恋のあやつり糸」のテイク1を録音したレコーダーとテイク2以降を
  録音したレコーダーは、それぞれメインかサブの別々のレコーダーである。
  では、なぜメインとサブのレコーダーでミックスが違うかと言えば
  1台は3TRKレコーダーの3つのトラックに、「左、センター、右」を割り振り
  もう1台の3TRKレコーダーには最初からステレオ・ミックスされた音声信号が送られ、
  3つのトラックに「左、右、無信号」で録音されていた・・・

作り話としても、これぐらいのパターンを思い浮かべるようでないと
エルヴィス考古学者としては失格なのであります(笑)
Memphis Tennessee
FTD「Memphis Tennessee」



Master Take6

1963年5月26日の3曲目 (PPA4-0292)
「Devil In Disguise (悲しき悪魔)」

FTD「Memphis Tennessee」には、全テイクが収録されています。
Disc1 Track08 Master Take6
Disc1 Track25 Take3.FS&PB
Disc2 Track04 Take1.FS&FS Take2.LFS Take4.FS Take5.FS Take6.FS&Master

【音声解析】
FTD「Memphis Tennessee」には、Disc1とDisc2の両方に
「Take6.Master」が収録されていますので、音声解析してみましたところ
テープ・スピードや周波数特性が全く同一の音声ファイルであることが分かりました。
次に近年リマスターされた「悲しき悪魔」としてCD「Elv1s 30 #1 Hits」のバージョンと
比較すると、テープ・スピードが違っており、FTD「Memphis Tennessee」を作成する際に
新たにアナログ・テープをデジタル・リマスタリングしたことも想像できます。
2本のアナログ・テープをそれぞれデジタル・リマスタリングした際に
同一のファイルが完成する確率は極めて低いので・・・

1.セッションで回したテープのみをデジタル・リマスタリングして
  マスター部分を「Disc1 Track08」に収録した。
2.セッションで回したテープとBMGに保管されていたマスターテープを
  デジタル・リマスタリングして、セッションで回したテープの後半に
  マスターをつなげて、「Disc2 Track04」に収録した。

ハサミで切っていないサブ・テープをデジタル・リマスタリングしたとすれば、「1」ですけど
私は、(ハサミで切った)メイン・テープとマスター・テープの2本を
デジタル・リマスタリングした「2」だと思っているんです。

【余分な話】
♪ Heaven help me, I didn't see the devil in your eyes
「瞳の中に悪魔が見えない。助けて」と聞かされたリスナーの
頭に浮かぶのは「瞳の中にいる悪魔」だ。違うかな?
Memphis Tennessee
FTD「Memphis Tennessee」



Master Take6

1963年5月26日の4曲目 (PPA4-0293)
「Never Ending (ネバー・エンディング)」

FTD「Memphis Tennessee」には、全テイクが収録されています。
Disc1 Track09 Master Take3
Disc1 Track26 Take1.FS&PB
Disc2 Track05 Take2.LFS Take3.Master

【音声解析】
「悲しき悪魔」と同じく、2つのマスターが収録されていますので
2つを比較してみると、やはり同じテープ・スピードで周波数特性も同じでした。
次にFTD「Double Trouble」のボーナス・ソングとして収録されたバージョンと
比較してみましたら、FTD「Memphis Tennessee」収録バージョンの方が
僅かですけどテープ・スピードが遅いことと、
FTD「Double Trouble」では何故か左右の音圧バランスが悪かったので
左チャンネルのレベルを増幅させたことが分かりました。
同じFTD盤でもマスターを使い回すことは無いみたいですね。


Master Take3
FTD「Double Trouble」バージョン
FTD Double Trouble
FTD「Double Trouble」
FTD「Memphis Tennessee」バージョン
Memphis Tennessee
FTD「Memphis Tennessee」


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