「闇に響く声」セッション:5日間の記録 > セッション4日目 |
◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇ 余分な話 〜 第2回 〜 「闇に響く声」セッション:5日間の記録 ◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇ 4.セッション4日目 1958年2月11日(午後1時〜午後5時5分、午後6時5分〜午後9時55分) ハリウッドのパラマウント・サウンド・ステージ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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【ちょっとしたことなので、あまり語られていない情報】 この日はラジオ・レコーダーズ・スタジオからパラマウント・サウンド・ステージに移ったので、1990年代になって発表され始めたパラマウントのテープ(→)には、この日の作品は収録されていません。まあ、当たり前と言えば当たり前なんですけど(笑)、「ちょっとしたことなので、あまり語られていない情報」とは、こういったことも指します。然るべきポイントでチェックしておけば次の判断が鈍らなくて済むのです。 「S」 UNKNOWN TITLE 「P」と同様に推測すると、「Dirty Dirty Feeling」、「Banana」または「As Long As I Have You (Carolyn Version)」が、マトリクス「S」に当てはまることになります。しかし現在のところ何も情報が無い「S」は、ひとつ前のセッションである1958年1月23日の録音なのかも知れません。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「T」 Steadfast, Loyal And True アセテート盤を音源とした「T バージョン」のマスターが、4CDs「Today, Tomorrow And Forever」で発表されていますので、オリジナルLPバージョンと比較してみましたところ、確かに同じボーカルが使われていました。 次に「T バージョン」とフィルム・バージョン(「もっとジャズっぽく歌え!」なんて台詞に邪魔をされて、2分割な上、時間的には半分程度になっています)を比較してみましたら、波形(→)で白く反転している部分以外は別テイクであることが分かりました。 そして、同じテイクを使っている部分(白い部分) ♪ Farewell, Royal High School, ♪ We'll remember you. ♪ Dear alma mater, を、DVD映像で確認しましたら、全部で5カットで構成されている「Steadfast, Loyal And True」の4番目のカットと合致することに気が付いたのです。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
と、いうことは・・・ 4番目のカット(→)を撮影する際に、このショットだけ、1958年2月11日録音の「T マスター・テイク」を流して「口パク」で演技をしたか、もしくは、この撮影自体が、1958年2月11日にパラマウント・サウンド・ステージで行われたかのどちらかになります。 また同時に、他のアングルで撮影されたカットの時だけ、別テイクの「T バージョン」を流して「口パク」したとは考えにくいので、他のアングルの「Steadfast, Loyal And True」は撮影と同時に歌われたものであると推測できますね。 しかし私は「パラマウント・サウンド・ステージ」なるものが、このようにセットを組んで「撮影と録音」を同時に進行できる場所であるのか知らないのですよ(汗) 分かっているのは「パラマウント・サウンド・ステージ」でもバイノーラル・レコーダーを用いていたことぐらいなんです。 どなたかこの件に関して御存知でしたら、教えてください <(_ _)> 2010年9月17日追記 FTD Book「King Creole」が発売されて、話に進展が見られました。 ブログ「日々是エルヴィス」 2010年9月版「Steadfast, Loyal And True」考察です | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「U」 Danny 「Danny」に関しては多くの疑問が残っています。 1950年代に映画でもレコードでも発表されなかった「Danny」は、Camden盤に収録予定があったのか?、「Mama」と一緒に1968年10月17日にRCAの担当プロデューサーJoan Dearyによってファイリングされましたが、1978年に「A Legendary Performer Vol.3」で発表されるまでずっとお蔵入りしました。掛けられたリバーブによって、録音テープが1950年代にパラマウントからRCAに引き渡されていたことは想像が付きます。 「Danny」は、1990年発売「Essential Elvis Vol.3」にも収録されました。同盤に収録された「闇に響く声」関連の曲は、ほとんどがアセテート盤からマスタリングされていますが、「Danny」は唯一、リバーブ処理を施された「RCA マスター」を使用しています。つまり、この時点では「A Legendary Performer Vol.3」と同じマスターテープを使用したことが推測できます。 ところが、翌1991年に5CDs「50's Masters」で発表された「Danny」からはエコー成分(リバーブ)が消え始めます。おそらく新たなテープが見つかっていたと思いますが、(「A」にも書きましたけど)なぜか曲コード「U」の「Danny」が、曲コード「B」の「Hard Headed Woman」の前に収録されたのです。「Danny」は当初のタイトルソングだったこともあり、その当時の専門家の間で曲コード「A」の楽曲であると誤認されていたのは仕方がないとするとしても、新たなテープが見つかったと思われるタイミングで「A」と誤認されたのはいささか解せません。 映画には使用されなかったのですが、撮影はされていたようです。「Recording Information」(↓→)と、「DVD」のエンディング近くで聞こえる「Danny」のトランペットを考慮に入れると、映画のエンディングは「As Long As I Have You」ではなく、「Danny」が予定されていたように思えるのですけど。。。 |
Danny (U-10:Record) Recording Information #5 (← 部分拡大) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【CD・DVD別のバージョン説明】 CD01 (オリジナルLP) 「KING CREOLE」 1958年発売 全11曲
CD02 「ESSENTIAL ELVIS VOL.3:HITS LIKE NEVER BEFORE」 1990年発売 全24曲 「闇に響く声」関連は、9曲。全てオリジナルLPのマスターとは、別バージョン。
CD03 5CDs「ELVIS,THE KING OF ROCK 'N' ROLL-THE COMPLETE 50'S MASTERS」 1991年発売 全140曲 DISC4 「闇に響く声」関連は、オリジナル11曲+「ダニー (U-10)」の12曲。 パラマウントのテープを使用しているので、オリジナルLP/CDに比べ、残響音が少ない。 DISC5 「闇に響く声」関連は、2曲。 テープをソースにしたように解説されているが「AS LONG AS I HAVE YOU」に関しては疑わしい。 24.KING CREOLE (E-03) 25.AS LONG AS I HAVE YOU (N-08) CD04 「KING CREOLE (UPGRADE)」 1997年発売 全18曲 オリジナル11曲+「ESSENTIAL ELVIS VOL.3」から別テイク7曲。5CDs「50's Masters」同様、残響音が少ない。
CD05 4CDs「TODAY, TOMORROW AND FOREVER」 全100トラックの4枚組CDで、「闇に響く声」関連作品はたったの1曲だけ。 Disc1-Track22に、「STEADFAST, LOYAL AND TRUE (Undubbed Master)」が収録されています。 これは、1958年2月11日にパラマウント・サウンド・ステージで録音された「T」バージョンです。 DVD DVD「闇に響く声」 エルヴィス以外の音楽に疎い私には、タイトルが分からないインストルメンタルが何曲も含まれています。 クラブの楽屋の場面では、何かしら聞こえていますね。 録音を噂される「BOURBON STREET」なんて曲も、この中に含まれているのでしょうか? 過去にあまり語られたことはないと思いますけど、、、「31.AS LONG AS I HAVE YOU」の直前、 ドロレス・ハートがエルヴィスの楽屋へ訪れる場面で「ダニー」のトランペット演奏が聞かれます。 ドロレス・ハートが「ダニー」と呼びかけますし、おそらく脚本上「ダニー」の場面なのでしょう。
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